2014年 re:inventでのこと

　革新的な企業文化を構築し、発展をつづけるamazonのCEOに、2021年7月アンディ・ジャシー氏が就任した。カリスマ的経営者であったジェフ・ベゾス氏の後任であり、これまでamazon web service（AWS）を世界最大のクラウド事業に育て上げた同氏に対する期待はamazon内でもさぞ大きいことと思う。

　2014年当時、AWS は単なるIaaSにとどまらず、IaaSをどう組み合わせて構成をしたらシステムに最適な環境を構築できるかというSIerが担っていた役割も、簡単にユーザーが組み合わせを選択できるようサービス化していた。当時SIer業界にいた私は、2014年の re:invent（ラスベガス）において、機会をいただいて、アンディジャシー氏に質問させていただいた。その際の彼の言葉は、今でも私の胸の奥深くに残っている。

AWSが今後サービスを増やし続ければ、いまAWSを広めるために活動しているSIer業界の仕事を脅かす可能性がある。これについては、どのように考えているのですか？

（私の質問）

　これに対するアンディの回答は以下のものだった

私たちはサービスを作り続けることしかできないが、SIerは顧客に寄り添って現状を深く理解し、AWSを活用し、顧客の課題を解決し、より深い価値を提供することができる素晴らしい仕事だ。その価値が失われることは無い。

（アンディ・ジャシー）

　アンディの回答はその場に居合わせた多くのIT業界の参加者を奮い立たせる素晴らしいものであった。しかし、その反面、単にAWSのサービスを理解し提供するだけのSIerの価値は薄まりゆき、AWSのサービスの及ばないような顧客の深い課題を最前線で解決するSIerだけが価値を保ち続けられるものと解釈した。SIerの真価について考えさせられるコメントだったと思う。

（荒瀬光宏）

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