目に見えるもの思考からの脱却

 商品やサービスを検討する上で、人間は目に見えるモノ(リアル)視点でものを考える傾向が伝統的にあります。スマートフォンをとってみても、外見的な要素を中心に機能分解してしまいやすいと思われます。しかし、このようなリアル視点で思考をする限りは、社会や産業のDXが進む中で、新しい顧客価値の創造は困難となります。

目に見えるもの視点での要素分解

目に見えるもの視点での要素分解

 新しい顧客価値の創造のためには、顧客が使い続けたいと感じる体験をデザインすることが必要となります。例えば、飲食店予約はすでにデジタル化が一巡している分野であり、皆様も想像つきやすいのではないかと思われますが、この飲食店予約というジョブ(一連の消費行動)1つとっても、様々な要素があり、顧客が当たり前と感じながら無意識に行っている行為も多く存在します。これらを分析し、最適な検索機能や、さらには検索しなくて済むようなレコメンデーション機能など、すべての要素をどう最適化するかを徹底して考えることが、価値創造の原点となります。

 もちろん、このジョブを実現するためにどのようなデータが必要で、どんなサービスと連携するか、このジョブのさらに周囲(実際に訪問時の決済や割り勘をどうするかなど)の顧客体験をどう拡張していくか、このサービスをデリバリーするための組織体制はどうあるか、さらに差別化し続けるために何にプライオリティを置きどのようなステップで進むかなど、多くの検討要素が待っています。

 ただし、原点はどのような顧客体験価値を提供するかを構想することであり、目に見えるもの視点を排除し、顧客体験視点に切り替えて思考することが、産業の変化を先取りするためにも重要となります。この思考方法の切り替えをどう促進するかという観点で質問いただくことも多いのですが、例えば同業他社のDX事例や世界の先進的なDX事例に振れる都度、この事例ではどのような顧客体験価値を狙っているのかを考えてみる癖をつけ、同僚と共有、意見交換するなどのルーチンを設けるだけでも、チーム全体の視点を変えていく訓練として有効です。

顧客体験視点での要素分解

顧客体験視点での要素分解

(荒瀬光宏)

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